![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0160.jpg)
夏休み、どこに旅行してみたい?
そう聞かれて真っ先に、「飛鳥村」と答えた。
その頃、朝の日課は
NHK連続テレビ小説を観てからの登校。
舞台は奈良県飛鳥村。
テレビで毎日見ていたあの村で、
本物の亀石に触ってみたかった。
飛鳥村の空はとても高く、
心と頭に風が通り抜ける。
パワーがみなぎって、
なんでも出来そうな爽快感があった。
以来、約20年ぶりの奈良。
そんな久々の訪問で会いに行ったのは、
クレイジーモーターワークスの
向井会長・社長。
昭和39年創業、どんな車でも蘇らせる、
修理と再生の日本一のプロのお二人。
![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0088.jpg)
レーサーとしても活躍されていたお二人は、
ともに生死に関わる大きな事故を
経験していると聞いていた。
けれど出迎えてくれた姿は
そんな気配を全く感じさせない、
やさしい笑顔がとても印象的だった。
![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0281.jpg)
ところせましと並べられたバイク・車は、
その道に詳しくない人をも興奮させる圧巻の光景。
お二人のこだわりがお話を聞く前からうかがえる。
「中古品の良しあしは、
決して値段が高ければ良いという訳ではなく、
その良さは体で感じる「これ!」という感覚。
![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0056.jpg)
「強いこだわりを持って仕事をしていると、
こだわりを持ったお客さんが来るんですよ。
長年大切に使われた車を丁寧に蘇らせ、
新たな情熱を注いでくれる人の
もとへ届けるんです。」
![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0212.jpg)
クレイジーモーターワークスの
姿勢はシンプルで真っ直ぐ。
変に媚びるのではなく、まるで車にエネルギーを
吹き込むように作り手として心を込めて作る。
そんなエネルギーこもったものには、おのずと
クレイジーな熱量を持った人が
共感して集まってくるのだ。
![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0148.jpg)
― 車も電気化し、変化する
世の中をどう見ていますか?
「さまざまなものが自動化し、
電化される部分が多くなっていく中で、
感性に頼るものづくりは減っていっています。
繊細な匙加減が分かる技術者と運転者が減り、
味気ない世界になっていく。
車も昔は人と同じように
扱わなければならないもので、
声をかけるように愛着を持って接していた。
いまは何でも与えられ、
簡単なもので喜んでしまうことが増えてきて、
頭と感性を使う機会は減っていっていますね。」
![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0240.jpg)
強烈なエネルギーに触れ、
20年ぶりに心と頭に風が吹く。
あの爽快にみなぎるパワーが蘇る。
東京へ戻ったわたしの足は、自然と
教習車の運転席へと向かっていた。
クレイジーではなかった頃には
もう戻れない。
text by natadecocroquette
photo by yuu kamimaki
![Think About](https://www.seven-press.com/ta3/0127.jpg)