アップサイクル工場取材
アップサイクル工場取材

再利用し、また役に立てたい。

1952年の創業以来、ユニフォームを通じて飲食・サービス業界の発展をサポートし、働く人々と共に歩み続けてきた私たちセブンユニフォームは「より多くのユニフォームを必要とされるお客様に商品を届けたい」「必要な時に必要な数を届けるワードローブでありたい」という想いで、毎年カタログを発刊し続けています。

古くなったカタログや一部の量産終了商品は役目を終えると、今までは廃棄されていました。お客様を想い、気持ちを込めて製作したカタログや製品が、時として“廃棄物”となってしまう事への心苦しさや、モノづくりをするメーカーとしての責任感から、それらをどうにかまた“誰かの役に立てる物”に再利用できないか。

そんな想いから、衣類や生地、カタログを新たな形にアップサイクル(創造的再利用)する取り組みを進めています。

その取り組みのひとつとして、今回は廃棄対象のカタログをトイレットペーパーにリサイクルすることに新たに着手しました。

富士のふもとの紙づくり。

富士山麓に流れるきれいな水の恩恵を受け、江戸時代から続く紙づくりの街「富士市」。

長い歴史が培った製紙技術による高品質なものづくりは、古紙や衣服、食品残渣など廃棄物のアップサイクルにまで及びます。

今回、セブンユニフォームで生まれる廃棄物を新たな形でアップサイクルさせるべく、富士市で長く紙づくりを行っていらっしゃる丸井製紙株式会社さまと富士共和製紙株式会社さまに御協力いただきました。


丸井製紙株式会社

― カタログからトイレットペーパーへ ―
丸井製紙株式会社

「トイレットペーパーは一度使われるともうアップサイクルはされません。だったらその一度きりしか使わない紙の原料は、再生紙から作られている方が良いですよね。」そう話すのは代表取締役社長の井出浩之さん。

丸井製紙株式会社さまの古紙原料によるリサイクル率は、箱や台紙に使われる板紙が古紙90%弱、トイレットペーパーでは古紙100%だということです。リサイクル・トイレットペーパーといっても品質は高く、古紙の性質や使用目的によって出来上がる紙の薄さを調整したり、エンボス加工を入れたり…奥深くどこまでもお客さまのことを考慮し作られています。今回改めてお話を伺い、トイレットペーパーが古紙100%で作れるものなのだと、始めて知りました。

今回依頼した印刷で色のついたカタログも、紙原料の部分だけ解離させて7割程度が使えるとのこと。映画のポスターでも、オフィスで出たミスプリントでも、ほとんどの紙はもう一度、紙に再生することが出来るのです。

富士山と駿河湾を望む屋上から見える排水処理施設では、製造ラインで排出された水に含まれる汚染物質を微生物に分解させる「生物処理法」等により浄化処理が行われています。富士の紙づくりは「水から始まり、水に還る。」という、土地の環境に根差したものづくりでした。段ボールに押された赤い折り鶴マークは、そんな高い技術と環境配慮の上で製造された国産の証。これからは折り鶴マークを探して購入したいと思いました。

丸井製紙株式会社


富士共和製紙株式会社

― 衣類から名刺へ ―
富士共和製紙株式会社

手に触れて「おっ」と喜ばれる、凹凸のある優しい風合いの名刺は、廃棄綿 50%・木材パルプ 50%から作られたサーキュラーコットンペーパーならでは。

サーキュラーコットンペーパーの廃棄綿は、一般財団法人サーキュラーコットンファクトリー(CCF)によって回収された繊維ゴミから作られており、リサイクル紙でありながら印刷特性にすぐれています。

富士共和製紙では果物の皮や豆粕といった食品残渣や、色紙など、廃棄物の色合いや質感を活かした多種多様な紙をつくられています。それらの個性豊かな紙たちは、さらに紙からお菓子の包装箱やノート、コースターやストローといった商品になります。リサイクル紙でしか出せない特別な色合いや質感は、「リサイクル紙であれもこれも作ってみたい」と思わせるほど無限の可能性を秘めています。中には電子機器に組み込まれる絶縁紙や、靴の中敷きに使用する消臭といった機能紙などもあり、紙でこんなことまで出来るのかと驚くばかりでした。

「挑戦する心を持ち続ける」「他のやらない、やりたくないものをやる」富士共和製紙会社の会議室に貼られたスローガンは先代の社長が書かれたものだそう。

普通であれば効率を考えてここまでやらない、そこをやるからこそ魅力的で特別な紙になる。ただ単純に繊維ゴミをリサイクルしただけでなく、そこから生まれた新たな価値のある名刺。紙づくりへの姿勢に、名刺を渡す背筋が伸びる思いです。


江戸時代には地球環境という観点というより、生活の中での「もったいない」の精神から資源の再利用が盛んであった日本社会ですが、技術も発展した現代でのユニフォーム作り同様、作ったその先まで関わっていけたら。

美しい景色を背景に、奥深い紙の世界を究める丸井製紙株式会社さまと富士共和製紙株式会社さまのご協力のもとできあがったこだわりのトイレットペーパーや名刺。展示やショップにいらした折りに是非お手に取っていただけたらと思います。

展示・コンテンツ内容は取材時のものです。
※2024年1月取材
アップサイクル工場取材

丸井製紙株式会社

丸井製紙株式会社

〒419-0293 静岡県富士市久沢37番地

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富士共和製紙株式会社

富士共和製紙株式会社

〒 419-0202 静岡県富士市久沢1丁目1番2号

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